福祉国家への建設
経済保障
ケアつき施設の歩み
在宅ケアの充実
グループホーム
エーデル改革とケアつき住宅
経済不況とインフォーマル
ケアの重視
福祉後退への批判



■福祉国家への建設

 スウェーデンで匿名性の墓、ミンネスルンドを受け入れられている背景には、スウェーデンの人々の強い社会的連帯感があります。
 こうした連帯感は、豊かな福祉国家の建設の土壌から、はぐくまれています。そのスウェーデンも、百年ほど前は貧しい農業国でした。
 スウェーデン社会が、豊かな福祉国家に変貌を遂げることができた背景には、第1に、労働者階級の政党として社民党(社会民主労働党)の長期政権と、第2に、戦後のめざましい経済的発展があります。
 スウェーデンでは議会制民主主義が18世紀頃から発達し、1920年には社民党が単独政権を樹立します。社民党は、社会的連帯でゆりかごから墓場までの人々の生活を保障する社会の建設をめざしました。
 生産過程は資本主義的競争原理を用いて高い生産性を維持し、分配過程は社会主義的な平等原理を用いた所得配分を行なうという、資本主義でも社会主義でもない「第3の道」を追求してきています。
 スウェーデンは、19世紀から<中立・平和主義>を貫き、第一次および第二次世界大戦でも国土を破壊されることはありませんでした。
 戦後、木材、パルプ、鉄綱、工業製品に対する需要が世界から殺到し、長期間にわたって好景気が続きます。
 こうした経済的豊かさを背景に、福祉国家が建設されていきます。
 スウェーデンでは、福祉国家の土台には高齢者福祉が据えられています。高齢者に対する経済的・身体的な扶養の責任は、「家族」でなく「国家」にあるとされています。
 高齢者福祉政策の柱としては、経済的保障、良質の住宅の供給、介護サービスと医療ケアの提供の3つがあります。

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